二次創作絵等ブログ。
by aru
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Messiah prologue



「エデア、珍客だ」

玄関に立っていたのは細身のフランケンシュタイン、
ラーバリス次期町長のランキスだった。
「ふゥン・・・いつものことじゃん。今ちょっと、見りゃ分かるだろ。後で顔出すわ」
奥の方で刃物の手入れをしながら、エデアはさしたる興味も無さそうに返す。
ランキスは構わず言葉を続ける。
「違う。住人が増えたんじゃない。人間がこの街に来た」
エデアの手が止まり、濁った目が見開かれた。
「冗談だろ?」
「いや、生きた人間なんだ。それも若い女性が、たった一人」
ランキスは、怪訝そうに首をかしげるエデアを急ぐよう促す。
「町門前に来てくれないか。俺は他の者を集めてくる。
 ・・・少し、面倒な事になりそうなんでな」
言い終えるとすぐ、ランキスは背を向けて行ってしまった。
エデアは彼の去った後を暫く眺めていたが、
やがて気乗りしない様子で立ち上がった。

エデアが町門にやって来る頃には、町の住人はあらかた出揃っていた。
重々しい空気の中、ランキスが白藍色の髪の女性としきりに話しこんでいる。
へェ、あの女か。
生きた人間を拝むなんざ、死に際以来だな。
想像以上に若いんじゃねえの。
山歩きは慣れてるみてェだが。

「つまり、貴女は我が町の存在意義を承知の上で・・・ああ、エデア。来たか」
ランキスは、エデアに気が付くと話を中断し、顔を向けた。
「こちら、リオ=ウィルセフト嬢だ。
 他の者にはもう話したが、近年、この谷の外部で妙な天変地異が相次いでいるらしい。
 彼女はその原因を解明、阻止するため派遣されたネクロマンサーだ」
エデアは飛躍した話にやや困惑し、リオと呼ばれた女性を見下ろす。
彼女は少し怯えたように肩をすくませ、ランキスの隣に立っている。
女性というより少女という方が適当な印象を受ける。
深い谷底にあるラーバリスに今しがたやってきたとは、とても思えない。
「はァ。ネクロマンサー、ねぇ」
「国の命なら本来、契約済みの死体を使うらしいが、
 この任務は極秘で行う必要があるそうだ。
 そこで上層部でも一握りしか存在を知らないラーバリスの住人を使いたいらしい。
 おまけに危険が伴う可能性が高いからな。
 腕利きの死者ばかり揃ったこの町は、人材選びに打ってつけという訳だ」
説明するランキスの口調はどこか刺々しい。
ランキスがこうなるのも無理ねェな。
周りの奴等が浮かねー顔してンのも、その所為か。
「私としては、我々がやっと手に入れた平穏を奪われ、
 まして我が町の住人を抜け殻同然の死体扱いされるなど、不愉快だ。
 本来ならば、すぐにでもお引き取り願うところだ」
「アー、まあ、ねェ」
「しかし、この異変がこれ以上広がるようなら、
 この町の存続にも関わってくる問題だ、という。
 それが本当の話なら、我々としても・・・協力せざるを得ん」
リオという女性は黙ったまま所在なさげに目を伏せている。
大層な仕事を請け負っているらしいが、
なんとも頼りなさそうな女だと、エデアはしげしげ彼女を眺めた。
ふと、彼女のつけた篭手に目が止まる。
なんてこった。
それには古い"役職見習い"の印が彫り込まれていた。
つまり、今ここにいる女性は、ネクロマンサー最下級ということになる。
「たまげた・・・。アンタ、見習いってか。
 ここは生きた人間が容易く来れる場所じゃねえ。
 まして見習いを寄越す様な・・・」
「すみません、私、師匠に進級試験だと言われてここに来たんです」
エデアが聞いたリオの第一声はこれだった。
ランキスの眉が吊り上がる。
「ですが、異変については国の通達ですので、間違いありません。
 私も全力で原因究明に尽くします。どうか、お力を貸して下さい!」
・・・・・・意外と、肝、座ってっかもな・・・。
群衆に向きなおり深々と頭を下げた彼女を、
エデアは呆れた様な、感心した様な気分で見やった。
住人達は相変わらず余所余所しい表情のままだ。
ランキスも固く唇を結んでいる。
まあ、ぶっちゃけココの連中にとっちゃ、いい迷惑だわな。
先の読めねぇスリルにゃ心底うんざりきてるモンの集まりだかんね、
誰も好き好んで外に出たがる奴なんかいねェよ。
ランキスも、まァあいつのことだ、自分が行かにゃあと思ってんだろうが、
町長が居なくなっちまったら、この町自体が成り立たねェしなあ。
この珍事を、まるで他人事のように傍観する自分が少し笑えた。
何か揉め事があると決まってこうだ。
感情がすっぽ抜け、気を抜くと表情さえどこかに落っことしてしまう。
もしかすると皆より己に対する執着心が無いのかもしれない。


「・・・オレ、行くわ」


さほど関心も無さそうに片手を挙げていた。
ランキスが、『やっぱりな』とでも言いたげに、心配そうな顔をする。
エデアは半笑いを作り、だるそうに肩をならした。
「どうせ誰か行かなきゃいけねェんだろ。
 町長は町守んなくちゃなんねーし、
 アンタは鍛冶屋、アンタは宿貸し、アンタは運び屋・・・
 皆して、無くなったら町が困る仕事してんじゃねェか。
 オレ、まだ何の仕事も請け負ってねえし?
 ボディーガード程度なら出来んこたねえさ。
 妥当なんじゃねーェの・・・」
「ム・・・」
「案外すぐ解決できたりしてなァ?」
へらへらと笑ってみせる。
問題の程度など知る由も無いが。

エデアは出発の挨拶もそこそこに歩きだした。
町門をくぐる。
薄霧漂う枯れた森を抜ければ、すぐに生者の世界だ。
ラーバリスの外か。
今じゃ想像もつきゃしねえな。
ランキス達に礼を言い終えたらしいリオが、後ろから小走りでついてきた。
「あの・・・! 本当にありがとうございます。なんてお礼を言ったらいいのか」
ちらと肩越しに振り向くと、
自分の顔を直視できずに一定の距離を保って歩く彼女が目についた。
へ・・・ゾンビを怖がるネクロマンサーとはね。
「お互い、とっとと終わらせてェもんだなァ」
エデアは再び前を向き、軽い口調で呟く。
その顔にもう表情は無かった。

second→

※最下級の印…
全職共通。簡単に言えば、初心者マークと同意義。
エデアが知ってるってことは随分古くからあるらしい。

※Messiah…
彼らの旧設定での話のタイトル。メサイア。

・・・以下はちと余計な話。
ネタバレはありませんが、想像の余地や気付きを奪うものです。
閲覧は本編を読まれてからの方が良いかもしれません。












このプロローグ、稚拙ながらに注釈ひとつ。

エデアは嫌な事があると、
それを無意識にシャットアウトしようとします。
(結構深刻な問題でも、大したこたないと脳内で自動変換される)
感情の激変も負担なのでシャットアウト。その結果の無表情。
本人は自己保存のためのメンタルガードだとは気付いてませんが、
揉め事などがあると…っていう当たらずとも遠からずな自覚はアリ。
だからそういう時は、周りに不思議がられないよう努めて表情を作るらしい。

さて、こういう時のエデア、
客観視点で引いて見る分異常に冷静になりつつも、
感情が鈍るためモノの損得を考えて頭を回せなくなります。
おまけに元々酷い諦観持ちなので、
気分の良くない現状をさっさと打開するには?
となると自己犠牲以外の考えが出てこないわけです。
それがハタ目、嫌な顔ひとつせず面倒事を進んで引き受け、
大きな問題に直面しようと大丈夫の軽い一言で済ませて向き合う、
頼り甲斐のあるタイプに見え兼ねない。
ランキスはエデアのこういう性格に、やや感づいてはいます。

ちなみに、上記テキスト内のリオ、
設定集で挙げているラーバリスの人にコレやっちゃダメよの項目を
一通り行ってて、いやあ前途多難な感じです(笑)
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by 2-ji | 2011-11-15 07:44 | ▲ 創作キャラ 【New!】
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