二次創作絵等ブログ。
by aru
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最終回その三

「入ってきてもらえますか?」
彼は唐突に扉に向かって声をかけた。

少し間があった。
カチャ、と小さく音を立てて扉が開く。
扉の外に立っていたのは・・・やや年配の男女、
そして、シェシェと同い年くらいのやんちゃそうな男の子。
「・・・?」
不思議そうに3名を凝視するシェシェに、女の人が近づいてきた。
シェシェの目の高さまでしゃがみこみ、やわらかく微笑んで・・・
「こんにちは。」
「?・・・・・・こ・・・んにち・・・は・・・。」
シェシェは何が何だか分からない様子だった。
互いに何を話せばいいか戸惑ったのを感じたらしく、
医師が女の人に軽く会釈をしてシェシェに言う。
「彼女が君をひきとりたいと、昨日申し出てくれたんだ。」
「・・・・・・わたしを・・・ひきとる?」
いまいち事情が飲み込めないシェシェを見て、女の人は
「少し、この子と私たちだけにさせていただけますか?」と医師に言った。
医師達は『では』と病室を後にした。
扉が閉まった事を確認して彼女は、
そろり、そろりと、あの日の出来事を語り始める・・・。


  ・  ・  ・


最近、隣町からこんな噂が舞い込んできた。
夜、まるで幽霊のような男が家々をまわり、謎めいた言葉を残していくと。
最初は彼女もただの噂だと思っていた。
しかし次の朝、近所に被害が出たのだ。
被害に合った家の女性は失神して頭を打ち、病院送りになったという。
それからというもの彼女は、毎夜用心しながら布団に入るようになった。

ある夜、彼女はいやに目が冴えて寝付けなかった。
外では雨がシトシトと足音のような音を立て、警戒心を煽る。
彼女は段々いても立ってもいられなくなってきた。
布団を押しのけて立ち上がり、玄関へ向かう。
なぜ玄関へ向かうのか自分でも分からなかったが、
まるで何かに憑かれた様に彼女は足を速めた。


  ・  ・  ・


そこには頭のどこかに過ぎっていた光景があった。
鍵を閉めたはずの玄関の戸は開いており、
夜風に煽られてばたばたと音をたてている。
黒い影を背負った男が、雨に打たれながら立っていた。
その男は真っ赤な民族衣装を羽織っており、
血色の悪い肌の色で、病人のように細く、見るからに幽霊のようだった。

彼女はその場で凍りつく。
(・・・ 『アレ』 だ・・・)
男は、ずっと彼女を見ていた。
確かに噂通りの幽霊っぷりだが、彼女に向けられているその瞳は
虚ろうことなくしっかりと彼女の目を見つめている。

不思議と彼女は、その招かれざる来客と冷静に向き合っていた。
その男、確かに不気味ではあるが、
彼の瞳を見ていると、そう恐ろしいものには思えなかった。
暫く、雨音だけが聞こえた。

ふいに男は、たどたどしい言葉で
かすれた声を振り絞るように何か言った。
「・・・我的妹妹・・・請・・・助・・・」
そういい終え、弱々しく咳き込む。
喉を痛めているらしい。
よく見ると足がガクガクと震えている。
今の季節はそう寒くない、
察するに街という街を歩き続けてきたのだろうか。
「・・・我的妹妹・・・請・・・・・・助」
彼女が動けないでいると、男はもう一度同じ言葉を繰り返した。
やたら発音が悪く聞き取りにくいが、
彼はこの国の言葉らしきものを喋っているようだ。
「妹妹・・・請・・・助・・・・・・」
静かな物音。
彼は3度目を繰り返そうとして、その場に倒れこんでしまった。

彼女は、必死に何かを伝えようとしているこの男をもはや放ってはおけなかった。
骨ばった薄い体を抱きかかえ、家族を起こさぬようゆっくりと居間に運ぶ。
質素なソファに寝かせ、息子の羽織をかけてやった。


  ・  ・  ・


「その人を抱えた時、
 あまりに冷たくて軽かったものだから驚いたわ。」
ここまで話し、彼女はシェシェの顔を見た。
目の前の女の子は、瞳を大きくみ開き恐怖に塗れた表情をしている。
シェシェは、その男とよく似た身体を持っていた時があるから知っている。
完全な妖怪がこの世で人の姿をとる場合、
その身体にかかる負担は並大抵のものではない。
『兄』が引き取り手を捜そうとあちこち人の身体で訪ね回っていたのであれば、
その疲労は想像を遥かに超えるだろう。
女の人は静かに息を吐くと、落ち着いた声で話を続ける。

・・・彼女はソファの上に横たわる男の顔を見た。
動かないものの、気を失ってはいない。
荒い呼吸音だけが続き・・・ ふいに、その口が動く。
『・・・助けていただき、感謝する』
深く響く声だ。
まるで意思が直接頭に流れ込んでくるようだった。
「なんだ、普通に喋れるんじゃない」
彼女は少々緊張がほどけ、ポロッと本音を口にする。


▼ 続
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by 2-ji | 2008-08-21 12:39 | ▲ 創作キャラ
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