二次創作絵等ブログ。
by aru
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オボロ 七

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「相変わらず神出鬼没な奴だな」
「それはドウモ。いつものやつあるかな?」
マスターさんと親しげに話す男の人。その人は僕が兄を探す手がかりをくれたあの帽子屋だった。
帽子屋は僕の隣の席につくと、ちらりとこちらを見る。
「おや、君は確か・・・」
「こんばんわです。照葉で僕の家に来てくれた帽子屋さんですよね?」
「ああそうだよ。それと私の名はイールと呼んでくれて構わない。に、してもどうやってこの世界へ?照葉へのルートはまだ通ってないはずなんだが」
「そう、それだ。イール」
マスターさんが煎れたてのお茶をイールさんに差し出す。
「これは私の予想なんだが、一時的に繋がってしまったんではないかと思うんだ。おそらく歪が原因だろうな」
「フム、そういえばここ最近歪の流れが違っている箇所があってね。規模は小さかったから大目に見ていたんだが・・・やはり影響は出るものだね」
「やはりそうか。それともうひとつ関係していると思う」
イールさんはお茶を啜る。
「あの森の大樹の事か?」
「そうだ。その樹の霊力と満月の魔力が偶然にシンクロし、本来なら繋がるはずの無い照葉への『道』を開いてしまった・・・とは考えられないだろうか?」
「うーん、一理あるね。あの森は歪がここで一番不安定な所だし。オボロ君がここに来てしまったというのも納得だ」

二人の会話を片隅で聞きながら(といっても内容はさっぱり分からない単語だらけなのだが)、僕は兄の事を考える。

・・・兄さんも此処に来てしまったのだろうか?
だから帰ってれないのだろうか?
今どこにいるのだろうか?無事であればいいのだが。

お店にマスターとイールさんの討論が響く。
僕がお茶を飲み終わる頃、話し合いも終了したらしい。
腕組をしたマスターさんは、僕をちらりと見る。
「オボロ君、辛い事を言うが・・・君が家に帰る手段は今のところ無い」
「薄々分かってはいました」
道がどうとか、魔力がどうとかはまったく理解できていなかったが、僕がこの後すぐに照葉に帰れる事はないだろう、と心の何処かで何かがそう告げていた。
マスターさんは次にかける言葉が見つからないらしく、下をうつむいて考え込む。
「どうだろう、オボロ君」
マスターさんに代わって、イールさんが僕に言う。
「君が家に帰れる方法が見つかるまで、ここで働いてみては」
「エ?」
思いもよらない提案だった。
それはマスターさんも一緒だったらしい。
「オイオイ、確かにそりゃ名案だが・・・もしもずっと帰れなかったらどうするつもりだ?親御さんだって心配するだろうに」
「その時は、その時だよ。
マスター、時間というのもは気まぐれだ。
自分が思った通りには進んでくれないし、止まってもくれない。
だがそれを動かすのは自分自身なのだよ。
あせらず、それをどう動かすのかを見極めるのが一番大事なんだ」
言い終わって、イールさんは残りのお茶をすべて飲み干す。
そして懐から大きな懐中時計を取り出す。
「おっと、そろそろ歪が動く。それじゃマスター、お茶ごちそうさま。ツケにしておいてくれ」
「ツケにするのはいつもの事だろうが」
そうだね、といってイールさんは軽く笑った。
ビリビリと店内の空気が振動する。
するとイールさんの目の前に突如黒い切れ目が現れた。
それは徐々に広がり、人ひとりがすり抜けられるくらいにまで達する。
「じゃ、また今度」
イールさんはそう言い残し、黒い切れ目の中に飛び込んだ。それと同時に空気の振動が弱まり、やがて黒い切れ目のようなものも姿を消した。
「さてオボロ君。いや、今日からウチの従業員になるからオボロと呼ぶことにしようか。そういうことでいいかな?」
「あ、ハイ!これから色々とお世話になりますが、よろしくお願いしますっ!!」
「まぁ気楽にやってくれ。こっちも人手が足りないんで助かった所だ。仕事内容は明日にでも教えるから、今夜は近くの宿を紹介しよう。そこからここに通うといい。宿の主人にはこちらから話をつけておくから」
「なにからなにまで・・・本当にありがとうございます!」
なに、これもこの世界の管理人の仕事のひとつだろうからな。とマスターさんは笑って言う。

僕は兄を見つけ出す事が出来るのだろうか?
家に帰れる手段は見つかるのだろうか?
この世界で上手くやっていけるのだろうか?

不安は沢山あった。
けれども今は時を急かす時ではない。
流れに逆らわず、僕が僕である為には今をどう動かすかだ。

窓の外の月は、今夜も変わらずそこに居た。

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by 2-ji | 2009-01-26 10:48 | ▲ 創作キャラ 【New!】
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